「悪性黒色腫を対象とした質量分析計による血清中メラニン中間代謝産物濃度測定方法の確立」へご協力のお願い

当科において悪性黒色腫(メラノーマ)の診断および治療をこれまでに受けられた方へ
―「悪性黒色腫を対象とした質量分析計による血清中メラニン中間代謝産物濃度測定方法の確立」へご協力のお願い―

研究機関名 岡山大学学術研究院医歯薬学学域 皮膚科学分野
研究責任者 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 皮膚科 准教授  山﨑 修
研究分担者 岡山大学病院 皮膚科 助教 杉原 悟
研究分担者 岡山大学病院 皮膚科 助教 野村隼人

1.研究の概要
1) 研究の背景および目的
 悪性黒色腫(メラノーマ)は、その悪性腫瘍の細胞1個1個の内部でメラニン産生という反応を起こしています。悪性黒色腫やほくろは黒い色をしていることが多いのですが、細胞の中でこの黒い色素であるメラニンを産生しているためです。最近の研究ではメラニン産生の途中で作られる物質(メラニン中間代謝産物)が患者さんの血液の中に認められ、これを機械で測定することで病気の進み具合や治療の効果を反映することが分かってきました。 現在,医療現場では多くの微量なホルモン、ビタミン、タンパク質、ペプチド(タンパク質の短いもの)、腫瘍マーカーなどの微量な物質の濃度が血液や尿で測定され、患者さんの病名診断や病気の重症度の把握に役立っています。現在、医療現場で用いられている臨床検査では、主に抗体試薬という製品を用いてこれらの微量な物質を測定しています。しかし、現在の臨床検査には①再現性(いつでも安定して同じように正しい検査結果を得ること)、②感度(低い濃度の物質でも検出できる性能)、③コスト(検査にかかる費用)に問題点があります。 そこでこの研究では、新しく質量分析計という機械を用いて患者さんの血液中の微量物質の測定を行う技術を確立することを目的とします。質量分析計では上記のような微量の物質を同時に200種類程度、安定して低コストで測定できるという利点があります。この研究の目的は、悪性黒色腫の患者さんの血液中に存在するメラニン中間代謝産物の濃度が患者さんの予後や手術を受けた患者さんの病気の再発、進行の速さや程度と関連しているかどうかを調べることです。

2) 予想される医学上の貢献及び研究の意義
 新しく腫瘍マーカーを測定する技術が開発されることによって、悪性黒色腫の患者さんの診断が早くなったり、転移や再発が早く診断されたり、手術・抗がん剤治療・放射線治療といった治療法の効果の判定が可能となったりする可能性があります。

2.研究の方法
1) 研究対象者
 2011年12月1日~2021年9月25日の間に岡山大学病院で悪性黒色腫の診断や治療を受けられた患者さんのうち、血液のサンプルを提供いただいた方を対象とします。
2) 研究期間
 2021年9月25日~2026年3月31日
3) 研究方法
 22011年12月1日~2021年9月25日の間に当院において悪性黒色腫の診断や治療を受けられた方のうち、血液のサンプルを提供くださった方を対象に、その血液サンプルを日本大学医学部附属板橋病院臨床検査医学科と株式会社日本電子医用機器事業部で解析し、血清中メラニン中間代謝産物濃度を質量分析計で測定します。
4) 使用する情報
 この研究に使用する情報として、カルテから以下の情報を抽出し使用させていただきますが、氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できる情報は削除し使用します。また、あなたの情報などが漏洩しないようプライバシーの保護には細心の注意を払います。 ・ 年齢、性別、既往歴、併存疾患、原発巣部位、病期、再発・転移部位 ・ 画像検査、治療経過、といった通常診療から得られたデータ ・ 全生存期間、無増悪生存期間、奏効率、全観察期間、有害事象と重症度 ・ 血液検査で得られる白血球数、白血球分画、赤血球数、ヘモグロビン濃度、血小板数、乳酸脱水素酵素(LD)、 5-S-システイニルドーパの血中濃度、 C反応性タンパク質(CRP)、総タンパク質(TP)、 アルブミン(Alb)
5) 外部への情報の提供
 この研究に使用するサンプルは、共同研究機関である日本大学医学部附属板橋病院臨床検査医学科と株式会社日本電子医用機器事業部に提供させていただきます。しかしサンプルの提供の際には患者さんの個人情報と臨床情報は削除して提供し、サンプルの番号のみ(連結可能匿名化と言います)をこれらの共同研究機関にお伝えすることになります。
6) 情報の保存
 この研究に使用した情報は、研究の中止または研究終了後5年間、岡山大学医学部皮膚科医局内で保存させていただきます。電子情報の場合はパスワード等で制御されたコンピューターに保存し、その他の情報は施錠可能な保管庫に保存します。
7) 研究計画書および個人情報の開示
 この研究における個人情報の開示はしません。 この研究は氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できるデータをわからない形にして、学会や論文で発表しますので、ご了解ください。 この研究にご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。また、あなたの情報が研究に使用されることについて、あなたもしくは代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申し出ください。この場合も診療など病院サービスにおいて患者の皆様に不利益が生じることはありません。

<問い合わせ・連絡先>
 岡山大学病院 皮膚科
 氏名:山﨑 修
 電話:086-235-7282(平日:9時00分~16時00分)
 ファックス:086-235-7283
<研究組織>
 研究代表機関名 日本大学医学部附属板橋病院臨床検査医学科
 研究代表責任者 科長 梅村啓史
 共同研究機関
 岡山大学 皮膚科   山崎 修、杉原 悟、野村隼人
 日本電子株式会社 医用機器事業部   藤野清孝、阿部健太郎、滝脇正貴、高橋康司